「鬼滅の刃(漫画/アニメ)」レビューをテキストマイニングで解析する | ゲヲログ2.0

「鬼滅の刃(漫画/アニメ)」レビューをテキストマイニングで解析する



劇場版も大好評公開中…なんでも全国津々浦々の映画館が、このコロナ渦にあってギリ満員になっているらしく、館内のスクリーンほぼすべてがこの劇場版鬼滅映画版に占拠されることも珍しくないという…加藤官房長官も強い関心を向けているらしい。もちろん、経済効果も抜群。なぜヒットしたのか?また、レビュー文の傾向から作品の特徴を読み取れるのか?もはや令和の社会現象にも発展した空前の「鬼滅ブーム」に迫ろう、というのが今回の企画。

まず対応分析から明らかにする。漫画版レビューの対応分析においてはこのようなプロットが出た。原作の話しの筋が出ていて、かなり直線的な統計結果になっている。ジャンプらしく、少年・王道・バトルなどのより”標準化された”プロットといえるだろう。

対応分析(漫画版レビュー)

次に示すのが、アニメ版レビューの対応分析である。このプロットにおいては、物語の原作から離れて、ビジュアルよりによっているということがわかるはずだ(例えば、映像表現にまつわる単語が多く掲載されている)。しかし、漫画版レビューと同様に基軸となる話のワードの離れ方にはあまり差異が見られず、極端に偏ったりしていない、グループごとに考えると単一によくまとまっているプロット結果だといえる。若干だが…ちらつきが見えるか?

対応分析(アニメ版レビュー)

この傾向は頻出語をみても簡単に見て取れる。漫画レビューよりもアニメレビューの頻出語は常識的なビジュアルな表現にまつわる単語が多く、原作の本筋のほうにはあまり触れていないことがよくわかるのだ。なお、母数が漫画版レビューのほうが多かったため、そちらの検出された語の総数が多いのは自然である。映画化などの影響が垣間見えて、映像化への視聴者の関心やビジュアルへの分化傾向も見て取れるといえるのではないか?これは共起ネットワーク図を見て比較してみても同じことがいえる。

頻出語トップ150(漫画版レビュー)
頻出語トップ150(アニメ版レビュー)

共起ネットワーク図(漫画版レビュー)
共起ネットワーク図(アニメ版レビュー)

原作を意識してアニメ版をそれに対比することで、なにかの感想を紡ぎだそうとする人がいるようである。アニメ版におけるギャグシーンなどの本作の特徴も盛られたようだ。原作が王道を行く漫画らしいレビューになっているのと同時に、アニメ版においては、ファンタジーとかダークとか、シーンとか時代のワードが共起図に盛られた。カメラ-ワークなどの関係性も見て取れるので、物語が漫画という静止画から離れて、動きに変化しているところに視聴者の着眼点がいくようである。

最後にネガポジ分析の結果を見てみよう。求めたのは4つ分だ。以前、ファメが投稿したソースコードを基にアレンジしたものを最後に添付する。これを改造するだけで、いくらでもTMの応用ができるはずだ。

テキストのネガポジ図を見てわかるのは、このプロットが、前述のどれもよりより常識的なプロット結果になっているということだ。例えば、漫画版のポジでは王道な物語が好評を得ているような印象が見て取れるし(”生きる”ことに肯定的なワードが多い)、一方で漫画版ネガではそういった傾向は見て取れず、ぶれている結果が出ている。アニメ版のネガポジ図はどうだろうか?アニメゆえの表現によっているので、キャラクターの描き方に”可愛らしい”だとかの人物像を背景にしたワードが”受けている”。一方で、映像化した分だけ、過酷な戦闘シーンはネガティブさを呈しているのがわかる。

では、ソースコードを開示した上で結論を述べる。

結論:「鬼滅の刃」はアニメ化後にヒットしたと聞いた(この辺りの売り上げ推移は既存のページで解説文が多々あるので他に任せることにする)。おそらくその理由として、このTMの結果から読み取れることはしっかりあるやと、あたしは思う。それはメディアミックス的な、映像化からの成功ルートというものだった。

「鬼滅の刃」は映像化により、ビジュアルに、キャラクターの生き生きとした描画に裏付けられた作品に発展し、しかも元々ジャンプ系の王道ものにも叶った理のある漫画原作であったことが、今回のTMの結果から推測される。少年の葛藤・闘いの物語という、ジャンプ少年漫画の王道を基軸としつつも、繰り返し工夫を織り込み、特殊な舞台設定を敷いたのが功をそうしたのではないか?とも微妙に読み取れる。

解析より、本作アニメ版は様々に細かなハイブリッドを枝葉とし、原作の王道さを支援した作品に仕上がっていると思われる。アニメ第一話だけを見た限りでは、今回の解析結果とともに、そうあたしは推測する。そういう意味で「鬼滅の刃」はヒットした常識的な理由付けがその主たる原作に多くあるように、あたしは感じた。