ガンホーがカプコンと共同開発し、ガンホーからF2P形式で発売されているスマートフォン向けゲーム「TEPPEN」はたしかに興味深いゲームだ。簡単に言っちまえば、いわゆるタワーディフェンスゲームの称揚版である。(次の言葉はあたしが勝手に呼称しているだけだが…)『レーンシステム』というこれまであまり陽の目見なかったゲームシステムを搭載しているのが特徴的だろう。そして、実はヒーロを守りながら、カードを出して、各レーンで戦いを繰り広げるっていうシステムは「TEPPEN」以前のフリーゲームにもあった。
あたしが知っている中でこのジャンルに似ているゲームの初出は、いまだにVectorで配布されているフリゲ「MONSTER MARCH」である(関連リンク:Vector)。今でもWin10で動くぐらい汎用性のあるエンジンで作られていて、現段階のWinOSで起動できるので多くのゲーム関係者に見てプレイしてほしいフリゲだ。次の画像を見てほしい。
どうだろうか?この画像を見てピンときた方はいないだろうか?あたしが当時プレイした段階で、相当なショックをもたらすほど良い出来を誇るゲームだったことを覚えている。そう、発想のニュアンスとしては「TEPPEN」に奇妙なほど似ているのだ。どちらもレーンシステムとカード召喚(のような要素)、そしてヒットポイントを戦わせて本体削るという、そのスキームは「TEPPEN」の誕生よりもずっと先だったわけだ(このフリゲが2003年の初出だから、大体15年以上は先行したアイデアだったことになる~もっともアイデアをガンホーやカプコン側が剽窃したわけでもなんでもないのは明らかだが…)。この一介のフリゲは地形の有利不利・攻撃のタイミングの処理なども盛り込んでいて、かなり先駆的なシステムを、いまだに単調になりがちであるタワーディフェンスというゲームジャンルに持ち込んでいたわけだ。
このフリゲを踏まえ、あたしなりに「TEPPEN」について言わせてもらうと、そのゲーム性は次のように端的に表される。
・カプコンIPを活用したヒーロ&カードデッキスターシステム
・カードゲームとレーン式タワーディフェンスシステムとの融合
・ターン制戦略およびリアルタイム制戦略の”裂け目”の結合
ざっとまとめると、こんなところだろうか?
「TEPPEN」は確かにすごいゲームだ。だが、これぐらい独創的なアイデアに基づく実装でも先達はいたといえる。人間の着想力は結局のところ収束し、同じ地点にビジネスのデプロイ(実装)を見つけてしまうものなのかもしれない…「TEPPEN」とそのシステムの合理的画一性を観察した限りでも、『ゲームアイデアの飽和』という現象は垣間見えるとあたしは思ってる。
※画像:ゲーム「MONSTER MARCH」(Vector)より引用.