ゲーム分野で多角化経営を行うGameWith~e-Sports/NFT分野へ活路を見出すリスクテイクしないやり方 | ページ 2 | ゲヲログ2.0

ゲーム分野で多角化経営を行うGameWith~e-Sports/NFT分野へ活路を見出すリスクテイクしないやり方



デジタルハーツHDとGameWithの資本提携に何を見るか?

そして、この度、デジタルハーツHDとの協業関係をGameWithが担うという(4Gamer.net)。いわゆる業務資本提携を契約するわけだ。デジタルハーツ側がGameWithの株式を4億円分ほど買うことで行われるという。簡潔にその内容をまとめてみると、こうなる。

・デジタルハーツの持つQAの力とGameWithの多角事業のクロスセル(融合)に注力.

・具体的には、デジタルハーツ側がGameWith側の広告/広報事業を協業の形で担い…

・GameWith側がデジタルハーツ側のデバッグ/ローカライズ事業の顧客紹介を担う.

さてこの内容をどう見るか?これはまさにリスクテイクしないやり方だ。両社は依然としてゲームサポートに徹し、開発支援を行うのが主であり、いわばトーセの総合的QA版事業を主とする見込み、といっても差し支えないだろう(トーセの主力事業は請負開発であり、新作の開発は自社主体で行わないことは業界ではかなり有名)。さらに先端分野(具体的に言うとGameWith側のNFT関連事業)では積極的に開発をするという見込みで、トーセもそうであるように、開発支援と開発そのものの見極めがかなり際立ってクッキリしているのがポイントだといえそうである。

いうなれば、デジタルハーツとGameWithが共同で新作を開発する…ということではないという点が重要だ。開発そのものに関われば、ごく当然のように、リスクをテイクしてしまう。彼らはその開発部は縮小的に専門部署で、しかも限定的な先端分野に限って行い、それ以外はすべての事業をクロスセルの形で行う、これがミソだ。もし彼らが一般的なゲームの開発に乗り出せば、テックジャイアントでさえ苦しんでいるゲームIP新規開発の分野で失敗することは目に見えている。だからこそ、そうはせず、開発支援にのみ徹底して乗り出そう、そういう目算なんだろう。

もしライバル同士がにらみ合いをずっと続けているのであれば、今頃、XboxハードにYouTubeアプリが載っているだなんてことはありえない。ライバルはにらみ合いを行いながら、牽制しながらも、手を取り合ってマージン(利益)を探るプロセスを大切にしていく方針が今の経営の主流の方法だ。MSもGoogleもそれがわかっている。だからこそ、XboxハードにはYouTubeアプリが恒久的に入っているわけだ。両社が牽制しあいながらも、表立って手を取り、裏側で利潤の奪い合いをする、この構図が今の経営のトレンドだと、院時代MSの社会人大学院生も言っていた。デジタルハーツHDとGameWithの関係は、このMSとGoogleの事例よりも柔和なものだが、基本軸は変わっていない。

見事な(excellentな)経営のやり方だ、といえる。