株主総会での質疑応答で取締役陣がガチゲーマ勢だったことが判明したことで話題になった任天堂をその他の質疑応答から読み解く【81期株主総会】 | ゲヲログ2.0

株主総会での質疑応答で取締役陣がガチゲーマ勢だったことが判明したことで話題になった任天堂をその他の質疑応答から読み解く【81期株主総会】



コトのはじまり

各社、決算期の株主総会名物と言えば、阿鼻叫喚(?)巻き起こる質疑応答。そういえば、任天堂の81期株主総会では、取締役陣の”人となり”を知るため、一部株主から質疑されたそのもののうちに「経営陣の好きなゲームとか教えてくんさい」っていうもんがあったことは記憶に新しい。ちょっとまとめて俯瞰してから、その他の質疑応答を読み込むことで任天堂という会社の性質を読み込んでみよう。

今月末に82期が控えている…っていうハナシの流れなんで。※参照ソース [1] [2]

例の『好きなゲーム質疑』に応答した経営陣の経歴とその内容

公開されている経歴・役職・持ち株数・遊ぶゲームの具体的なタイトル等は当時のもの。

古川俊太郎…早稲田政経卒。株式会社ポケモン等の関連会社の社外取締役を歴任、経営企画室・本社役員・グローバルマーケティング室担当など経て、代表取締役社長に。長年の経理畑に携わり、その後、経営上層に関わる。芯がしっかりとしていて前任者君島からの信頼も厚かったらしい(君島の後任)。持ち株数200。

~好きなゲーム・ハード:「スーパーマリオブラザーズ」。ファミコン世代を自認。自社タイトルの他、花札も遊ぶ。

宮本茂…金沢美術工芸大学工業デザイン卒。開発畑から携わってきた経歴があり、代表取締役兼任のフェロー。長年ソフト開発の面から任天堂を支え続ける、言わずと知れた天才であり任天堂の象徴。ゲームメディア分野としては異例の文化功労者。持ち株数100。

~好きなゲーム・ハード:自社製ゲーム(特に自分の作ったゲーム)。「パックマン」「テトリス」に多大な影響を受ける。

高橋信也…開発部畑から任天堂を支えてきた人物。企画制作本部長・開発総務本部管掌、これらを専務と兼務。持ち株数100。

~好きなゲーム・ハード:「ふぁみこんむかし話 西遊記」。直轄担当なので具体例は挙げにくいらしい。

塩田興…技術開発本部長を取締役および上席執行役員と兼務。持ち株数100。

~好きなゲーム・ハード:ファミコン世代、スーファミも好む。ハード好き。最近は「マリオカートライブ ホームサーキット」。

柴田聡…任天堂の関連外国法人での業務に長けている国際派。複数の役職を兼ねながら、グローバルコミュニケーション本部担当に。海外マーケティング畑出身。持ち株数100。

~好きなゲーム・ハード:ADVゲーム全般。他社製ADVもプレイするという。影響を受けたゲームとして「ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島」を挙げた。

その他注目するべき質疑と応答

業績の為替レート換算基準について…広く見識の幅を取り、適切な為替レートで換算しているが、そのレートによって業績報告が左右されることは承知している。長期的なスパンを元に想定しているものであって、今後もその想定為替レートは慎重に試算していく必要があると考えている。

社外取締役の新任について…(クリス氏のことを指し)該当の新任者は直接経営に携わるわけではないが、専門性を活かして任天堂に尽くしてくれる人物。数々のゲーム以外のプロデュースで成功しており、任天堂の製品やキャラクターをはじめとする文化にも理解が深い人物であり宮本の信認もある。ゲームのみならず、コンテンツ全般を重視する社の方針の中で、特定の映像作品などをプロデュースするうえ、有益なポジションを任せられることとなった。

ジェンダー・人権について…すべてのお客様に楽しい時間を提供するうえでジェンダーや人権・多様性尊重・機会均等についてとても重視している。(ウイグル人権問題の関連疑念があったのではないか?という質疑について応答する形で)自社サプライチェーンの中で、人権を軽んじた行動が確認されたことはない。適宜自社制定CSRに基づき、適切な形で量産活動ができるように管理していく。ウイグル人に限らず、ありとあらゆる面で強制労働などを防止する施策を取っている。

e-Sportsに関わる取り組みについて…自社で取り組む機会が増えていて、自社製品の魅力を共有することのできる貴重な機会と捉えている。現に「スマッシュブラザーズ」「スプラトゥーン」などの特定のタイトルについて、インターネット中継も含め複数の企画を成功させている実績がある。これらの実績は新型コロナ流行前だった。そのため、今後はコロナ対策を念頭に置きながら計画が必要だと考えている。

オンラインプランについて…自社製オンラインサービス「Nintendo Switch Online」は、2600万アカウントを超えて登録者が順調に増えている。既加入者へのサービス充実とともに新たな顧客獲得のため、その魅力を発信していく。

リングフィットアドベンチャーの続編について…既に1000万本超累計出荷している。特に、日欧米だけでなく、リングフィットアドベンチャーは韓・台・香港でも大好評。具体的なことは言えないが、適宜魅力向上のため取り組んでいく。

Switch新機種について…具体的には言えないが、適宜機種開発を常に進めていく方針を引き続きとる。

ヲタ話

任天堂は海外売上高比率が8割を超えるグローバル企業…想定為替レートのハナシはかなり重要。

曰く、任天堂は基本的に外貨建ての債券や預貯金を、各期末に日本円にその想定為替レートに沿って、換算することで記載・発表しているとのこと。ゆえに、水準のレートがどういうものになっているかっていうのはかなり本質を突いている質疑だと思う。任天堂としても長期的な見方からしか導けないっていう応答に終始している。

それ以外の質疑応答もありていな定型文に沿ってて、基本的には同じ。(おそらく文書内でふれられている大手アパレルブランドってのはユニクロのことだろうが…)人権状況に配慮しながら不法行為がないように徹底する方針をとる、新機種の動向についても適宜判断していて現状こうとしか言えない、っていうように答える以外ないもんな。

あと、特記すべきなんは、ゲーム以外の事業に乗り出そうとしていることか。ここでいうクリス氏っていうのは、Chris Meledandriさん(映像プロデュース会社イルミネーションの創設者)のこと。映画版のマリオとも関連して、宮本さんがかなり補足説明をしている様子が伺える。思うに、宮本さんがいうようにゲームってのはゲームだけじゃないんだよね。

そこに終始しているだけだと任天堂っていう会社がそもそも存在価値ない会社であるってのはネット上では有名な話で、コンテンツ全般として売らないと今後道が開けないっていう理由づけがある。だからこそ、任天堂もレゴなどと同じようにハード面にもソフト面と同様に力を入れる。

( ´_ゝ`)<USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)内の任天堂テーマパークはその象徴なのだ。