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書評「2003年のゲームボーイミーツゲームガール ビデオゲーム史を巡る冒険シリーズ」

書評「2003年のゲームボーイミーツゲームガール ビデオゲーム史を巡る冒険シリーズ」

構成は単純だ。おおかた、ゲーム史に残る名作or迷作群をまとめて、情報史的におっていっているだけだ。こういうゲームがあって、令和の今から振り返るとこれぐらいの懐ゲーなんすよ、ってのが五つ星で評されている。途中に四コマのユニークな解説がはさまれて、見ていて結構面白い。ただ、気になった点がないわけではない。

たしかに”令和生存度”という指標は斬新だし、時代性をとらえている。だが、新しい視点=オリジナリティがここだけに狭まってしまっていて、ゲームそのもののもつ情報だけはそれなり執筆されているものの、『そのゲームがゲーマーにどういった影響を与え、どういった結果を招き、どれぐらい独自性があって、だからこそエンターテインメントとしてどこが素晴らしいのか?』ということにはまったくふれられていない。あくまで短文主体のゲームの簡易的解説にとどまっている。もちろんそれは冒頭に著者が言うようにそれ相応の情報史実という位置づけなのだろうが、時間がそのあたりでストップしちゃっている印象は否めない。

『ああ~ああいうゲームだったよな』『あのゲームもあったな』というゲームの史実にだけしか注目できず、そのゲームの持つ本質的現代性までをも掘り起こすような、目から鱗が落ちるような情報はまったく掲載されておらず、そこが唯一気になった点である。これは、本書の紹介するゲームソフトウェア・ハードウェア問わず難しい評価を与えざるを得ない、本書の”欠点”だ。もちろん、著者は”そういった本”にしたい…という意味で執筆したのだろうが。本書の中で『ああいうゲームがあったので、今度のゲームはこうなるな』という”発展性”は読者自身が考えてほしい、というようなニュアンスの文章も残していて、そこに納得できるか否かが、本書が有用かどうかの分岐点になってると思う。

著者はその時代時代に沿った形でゲーム情報を有名媒体を通じて執筆してきた立派な経歴があるらしい。例えば「MSXマガジン」の編集アルバイトから入り、大手ゲーム雑誌での掲載経歴もあるぐらいすごいかただと書いてある。そもそも「MSXマガジン」のようなコアでマッドネスなぐらいすごい雑誌に編集として関わっていたっちゅーのだから、これは素直に感心した。だが、その素晴らしい経歴に見合ったような、ニッチで今後有用性がある、と断言できる情報は本書からはほとんど得られない。まぁそこがいい点でもあるのだし、それゆえにKindle Unlimitedで0円配信しているっていう書なんだからそれをいっちゃあおしまいだ!っていう反論もよくわかる。だが、もうちょっとでもいいのでオリジナリティを出してほしかった、と…あたしはそう思った。

それでも現代から振り返れる過去作をわざわざ掘り起こしてくれて、誰もが簡潔に見れる形で”図式した”点は素晴らしい。素直に評価できる。点数で評価すれば100点満点中70点ぐらいかな。あと、表紙のデザインはいい。ゲーマーならばさらっと読む価値はある、いい本だよ。