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何をもってして”悪質な忖度”とするのか?【ゲーム業界も蚊帳の外ではない】

何をもってして”悪質な忖度”とするのか?【ゲーム業界も蚊帳の外ではない】

政治的な理由で、官民がつじつまあわせしたりすること自体が悪なのだろうか?日本の現状を見ると、一般人レベルでは、あたかも、ロビー活動自体が悪かのようにとらえられているように思う。「偉いからってそういうことしちゃだめだよ」という通俗的な意見なわけだ。反論もある。例えば、今、Google検索で、”ロビー活動 違法性”でググってみると当時の日本弁理士政治連盟副会長の意見で、ロビー活動に関して「ロビー活動自体が悪なのではない」という主張の記事が出てくる。

日本の場合はNHKのウェブサイトに、メルカリが自社にとって有利な施策を政府会で提言する事例があるとの記載があるが、果たしてこれ自体が悪いことなのだろうか?(※参考リンク:教えて先輩!メルカリ吉川徳明さん|NHK就活応援ニュースゼミ)政府の諮問機関のような場で、民間のお偉方が提言したりすること、これ自体が罪ならば、すべての広義のロビイングは罪なはずである。たしかに特定の帯域利用権をめぐって官民の癒着があったり、そこで金銭的なやりとりがあったりしたら問題”かもしれない”。

だが、それが提示する類似事例が、献金だったり(献金が違法であるか否かの定義はあいまいで政治資金収支報告書にその旨の記載があるかないかというだけだ)、パーティー会だったり(これも同じで報告したか否かということが問題なわけだ)、種々のロビイングであったりしたら(同じようにどの国でもロビイングはある―ロビイング自体があるかないかではなく、それ…すなわち”その”ロビイングに違法性があるかどうかが本質的な問題である)、それこそ民間の活力を生かそうなどと、政府や行政自体が音頭を取って言えないはずだ(作為の対象はあらゆる判断を癒着・忖度の下でできないという前提につけば)。政府の役割を民営化せよ、とも度々いわれるが民営化によって、違法事例が減るのは見込めるが、今回話題になっている忖度というワードをキーにする限りこの問題は終わりはしないだろう。

例えば、アメリカで政治家へのロビー活動をすることは、それのみで悪だと決まっているわけではない。むしろ、正常なルートをたどり、献金をしたり提言したりすることはロビー活動の良い側面も含めて、広範に認められている。それを癒着ととらえるか否かは判断する人の個人的自由だが、癒着が罪であると断定はできない。例えば、日本でも、野田聖子がパチンコ業界から政治的支援を受けていること自体が悪いことでも何でもない。野田が特定の業界と癒着しているかどうかが問題ではない。その癒着が違法であるかどうかが問題である(そして野田の場合は違法ではない)。むしろ、野田は特定の民意を吸い上げて、自分を応援してくれている業界の意見を政治政策に反映しているだけである。要するに本質的な問題とは、そのロビイングの作為のプロセスの中で決められることなのだろう。では、どこで線引きをするべきだろうか?これは、”法に依る…”としか言えない。

アメリカでは、ゲーム業界でもロビー活動が盛んだ。ESA(というゲーム業界団体)が400万ドルもの献金をしていたり、実際ロビイングの場を持ったりしているという(※参考リンク:Gamasutra – Future Talks ‘Tough Conditions’ As U.S. Magazine Market Softens)。これに忖度という定義があてはまるかどうかがわからないが、繰り返すように、忖度という言葉はかなりあいまいな定義であって、本来主たる目的とすべきなのは、『それが罪なのか否なのか』というところであるはずだ。そして、『それが罪なのか否なのかということを定義すること』ははっきりいって『法律の文章を実際読んでみなければわからない』。我々は、法律という文章を作り出し時事に合わせて更新されるべきその文力の定義で、我々自身の持つ種々の権利暴走を縛ることを、法治という定義で発明したわけだ。民営化はひとつの有力なルール作りのうちの一つだろう。だが、それによって癒着を根絶することはできないはずだ。最終的には法律の定義により、違法と合法が決められる判断基準に過ぎないからだ。

日本でもe-Sportsという概念が世間を走っている。ゲーム業界は配信事業も含めて、確実にまだまだ伸びる業界だ。だからこそ、ゲーム各社は忖度や癒着という言葉で糾弾されてはならない。現に、スクウェア・エニックスの社長が委員として、経産省の報告書に参画していたことはネット上のリソースでも裏付けられている(※参考リンク:“国策”としてのゲーム産業 政府が初の報告書 – ITmedia NEWS)。当然、この民間ゲーム会社出身の委員が行ったこと、そのロビー活動自体が悪なわけではなく、むしろ合法的にすれば忖度も癒着も、ロビイングもまったく問題ないことだ(同じようにメルカリの事例も違法ではない)。何度も言うが、忖度・癒着・ロビイング自体が悪なわけではなく、それが罪に該当するか否かが本質的な問題だ。それが顕在化し、しっかりとした法的定義で罪になると立証されれば、当然問題だ。だが、今、国会で話題になっているような李下に冠を正さず的な杜撰な答案しかだせないようだと、生産的な論議にはなりえないと思う。ゲーム業界はその暴力性の問題も含めて、錯誤や誤解を生みがちな産業である。そして、今、政府も力を入れ出したマーケットでもある時期にある。だからこそ、ゲーム業界関係者は民間だからといって、この点譲らず、しっかりとした客観的な法の定義に基づいて、”石橋を叩いて渡るべきロビイスト”になるべきだろう。