はっきり言って夜学が就職時不利になるのは当然のことです。我々の通っていた大学でも夜学がありましたが、大変厳しい区別(差別ではなく合理的な区別です)があります。知人で夜学に通っていたものもいますが、夜学は現役生がアルバイトをしながら通うべきところではない、というのがその大学の教授陣の共通の懸念でした。ぶっちゃけどこの大学の夜学でも同じです。神戸大学の夜学ですら、合理的な区別があり、昼間部の学生からの夜間学部への評判は著しく悪いです。高校教員からの評判も著しく悪いです。
夜学が大学の評判を大変落としているのも事実です。勉強してくる意欲がなく、なあなあで学部に入った、というかたが多くいますし、入ってからの留年も大変多い(授業についていけないため)。大学の最終学歴は極めて重要で、勉強してこなかったものが会社法人から評価されるはずがないです。そもそも夜学というのは【社会人が正職員として働きながら通うための学部であり、現役生が非常勤職員として働きながら通うためのところではない】です。学科で一番優秀な教授も、昼間部で学びながら学費をすべて捻出ししっかり学部を卒業していました。アルバイトをしながら通うことで学費が相殺できるという苦しい理由を言う方もいますが、それはまったく合理的な意味を形成しません。トップクラスの通常の学部で学費はすべて自力で捻出しながら、という学生もままいます。比べてみれば実情ははっきりしています。ましてや国立よりも学費の高い私学夜間学部の実情はとても悲惨です。
就職時に夜学、と併記されないという意見もありますが、これはまったくの見当違いです。大学の学部名に二部と書かれている段階で、弾く企業も多くありますし、たとえ入れても、バレて解雇される夜学卒業生もいたようです。そもそも学部名に書かれていることをすべて正確に書かないことは経歴詐称に当たり、当然それに準じた対応が求められます。企業によっては、夜学卒は短大卒と同等とするという内規でしっかり規定されている会社もいまだに多いです。
また、たとえ、夜間学部生が大学院に進学し学歴を更新したとしても、その学部経歴は評価できるものではありません。昼間部に転部しても、大学受験時の戦力で在学中の実績と伴い評価されますから、100%昼間部の純粋学生と区別され比較されることがあります。昼間部の学生や教授陣からの評価は大変厳しく、廃部にすべきというのが教授会の一致した意見です。昔から夜学に対する批判は強く、昼間部の学生より学力面で劣っている学生が入ってくる、という『学力差ゆえ受け皿の批判』があったもので、法政を筆頭として、理科大などでさえ夜学はのきなみ廃部になっています。理事会の保守派が廃部に反対しているので存置されているところがある、というのが実情でしょう。
昔からこうしたことがなかったのか?というとありました。旧制高校や旧制大学にも専科という学科があり、大変厳しい区別の対象でした。高山樗牛先生は教員時代、専科生のことを大変嫌っていたそうですし、西田幾多郎先生も哲学専科出身ゆえ就職先などなかった、と述懐されておられです。当時は、図書室の利用も制限されていたと聞きます。合理的な区別を跳ねのけるだけの、壮絶な努力と確かな実績を残し達成することができない限り、夜学の学内・学外区別を無視することは到底無理なことと、今だに思う次第です。