3年半越しにクリアした「ロックマン 11」に見る「枯れた技術の水平思考」【ゲームレビュー】 | ゲヲログ2.0

3年半越しにクリアした「ロックマン 11」に見る「枯れた技術の水平思考」【ゲームレビュー】

ハナシの始まり

今日、3~4年前にリリースされた「ロックマン 11」をようやっとクリアした。あたしのPCが学生向けノート(今は壊れて廃品になった)だったころ買っておいたブツがようやっと大団円。プレイ感覚は最高の一言に尽きる。素晴らしい出来だ。

「ロックマン11」を傑作たらしめた「ダブルギアシステム」

昨今のゲーム業界では、名作のリブート作だけのみならず、AAA級とされる新作にでさえ、受け狙いの仕込みネタやありきたりのシステムの焼き増しが吹き荒れてる。凝ったように見せかけたドット絵…サバイバルやクラフティング…そういったマイクラ以後、たびたび見受けられる『近似作』にあたしも飽き飽きとしていた。ゲームにおける技術開発・競争を名目とした、普遍的になってしまった”あってばかり”のゲームシステム…本作「ロックマン 11」はそんな不快でめんどくさい、すでに飽和しているシステムらの一線を超えたと評価していい。その根幹にあるものが、間違いなく「ダブルギアシステム」だろう。

これは『左巻きのパワー』・『右巻きの時間』というふたつのパワーメントを、一定のスパンの中で操作できるというものである。このように表現すると、かなり込み入ったように見えるが、うまく使いどころを推し量って使うべき、良く出来すぎているシステムといっていい。例えば、パワーで押し切りたい場面(特に敵能力を使うシーン)ではパワーギアを駆動させ、ジャンプ操作が緻密に求められるところではスピードギア(タイムギアといったほうがわかりやすいかも…)を駆動させる。それぞれ、パワーの増幅と時間のディレイを意図的にもたらすものだ。

なかでも重要なのがスピードギアの使いどころだ。「ロックマン」の特徴として横スクロールのジャンプタイミングを絶妙にこなしていかねばならないというシリーズ恒例の要攻略特徴がある。つまりジャンプ位置やタイミングや強弱がしっかとつかなければ、操作するロックマンが落下死することになる。それはこの「ロックマン11」でも全く同じだ。だが、スピードギアとこれらジャンプステージギミックとの融合により、戦略的にステージ攻略を練る必要が出てきている。時間進行をある程度のスパンでディレイさせることができて、その間、余裕をもって様々な攻略法を考えることができるのだ。このあたりはかなり説明が難しいのだが(☝動画見てもらったほうが早いw)、何はともあれこのシステムにより、旧来からの旧作系「ロックマン」シリーズの魅力が見事に現代に復活している。

絶妙なほど保たれたバランスに寄与する様々な”救済策”

もちろん、恒例の残機制のシステム・E缶・補助ロボットのピートやラッシュ・ネジアイテムを集めて獲得する”救済策”の存在も忘れてはいけない。これほど、「ロックマン」というタイトルに多くのアイデアをねじ込んでいるのに、全体としてのゲームバランスやデザインのありかたに問題がなく、自然体にまとまったタイトルになっているのは本当に素晴らしいことだ。

例を挙げれば、本作で復活した強敵・イエローデビルステージなどはかなり難易度は高い。だが、それでも、単純な敵の判断デザインはAIに依らず、かなりシンプルにまとまっていてそれでいて攻略しがいのある構成になっている。肝心の最難関のイエローデビル戦・そのステージでは、頭をフル回転させ、各種能力を使わないといけないアクションシーンがかなり多い。だが、難しすぎる中でも、”救済策”が絶妙なところで活きてきていて、本当に旧作のリブートどころでは済まない出来だ。

「ロックマン」IPのこれからと、カプコンに期待されること

「ロックマン」は30年の時を経て、本作で完全に復活したといっていいだろう。間違いなく断言できる。残念ながらカプコンは「ロックマン」IPをどちらかというと…「ロックマンX DiVE」というような、ソシャゲに活用しているようだが、旧作でここまでできたのだから、Xシリーズのコンソール系のゲームだって復活させることができるだろう。確かに一時的にはロックマンIPは死んだようにさえ見えた。だが、11で見事に汚名を払しょくすることができたわけだ。カプコンさんはこの路線を決して崩さず壊さず、今後長きにわたって継承してほしいと思う。

かつて故・横井軍平は「枯れた技術の水平思考」という概念を発明した。単純なパターン処理で高度なAIを使わなくても、こうしたゲームデザインがあるのだ、ということ。それが任天堂にできて、カプコンにできないはずはない。必然的に横井氏のコンセプトを感じさせた、完璧なワンタイトル・今に至るまでマストプレイの一作だ。30年と言わず、50年が見えた一作と言っていい。絶賛する。可愛いアイリスが見たいのも本音だ。

※アイキャッチ画像はSteam版「ロックマン11」ゲーム内より引用させていただきました。