書評「海外の有名大学にリモートで留学する」~海外の大学事情(具体的に言うと”留学”)を知りたいのであれば必見の著書 | ゲヲログ2.0

書評「海外の有名大学にリモートで留学する」~海外の大学事情(具体的に言うと”留学”)を知りたいのであれば必見の著書

端的に言えば、かなりいい本です。著書の姫松さんご自身のLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)通信制課程でのグラデュエートサーティフィケイト(学士号取得後さらにその経験を活かして学士号を取得した証明)取得経験の紹介を基礎として、留学・特に海外の通信制課程への留学を様々な観点から考えさせられる書になっているといえそうです。

ここでちょい待ってほし。というのも、この本、実は全日制の過程への留学を検討している留学希望者にとってもかなり有益な体験談が多く載っているので、留学そのものを志すひとにとってもかなり有益な本になってます。だから、本書をしっかり読みこなすのは、留学準備の知識全般を得ることとほぼ同等になっちょります。だから、「通信制?そんなん正規課程じゃないじゃん」って率直にいうかたにとっても、(その論の賛否は置いておいて)かなり有益な本です。特にスタンダードな米英の留学を考える若い学生にはかならず読んでおいてほしいと思わされました。

全体的に客観的なデータを示してくれて、「これは基準からして高い金額」「英語力はこれぐらいが最低限必要」「カリキュラムやイベントがらみはこんな感じ」っていう具合に論を冷静に立ててくれる本なので、留学種別を問わず手に取ってみてほしいと、率直に思いました。

では気になる点をドゾー…

カネの問題

お金の問題は難しい…。というのも基盤として大概アメリカの学生でも抱える奨学金の額はとてつもなくでかい。よくアチラの博士号はお給料をもらって研究ができるといいますが、無条件なわけないんですよね。そのあたりについても書かれてます。

例えば、学士・修士の段階では奨学金の額が日本の学生とは比べ物にならないぐらい高い、という事実が冷静に書かれてます。しかも、非常に厳しいカリキュラムが敷いてあり、覚悟の上で通う準備しなけりゃならんそうです。バイトなんてアチラの学生はしてる暇ないっていう話はヨクキク(学生ビザではバイトもできん)。

あたしが院生だったころのバイト先でも必死に留学学資を貯めるため、昼間は清掃のアルバイト・夜は飲食店で働いているという熱心な米国の大学志望の女性のかたがいらしましたが、それぐらい困難が伴うってことですね。まぁそれだけはわからないでしょうから、具体的に本書に書いてある数値をちょっと引っ張ってきます。

「安い寮に住み、食費などをどれだけ抑えてしても、学費の安い州立大学でも、年間400万円以上、私立大学なら500万円以上はかかるものでしょう。学部課程に4年間通えば、諸々の費用で2千万円程度はかかるのです」p45より

「アメリカ人の学生でも、卒業時に巨額の奨学金を抱えていることが多いのです。~中略~アメリカの大学卒業生は、奨学金によって平均で132,860ドル(約1,400万円)の負債を抱えているといいます」p46より

これはMBA課程や修士課程2年間でもほぼほぼ状況は同じだそうです。「イギリスいきゃいいじゃん」って思うかもしれませんが、たしかにアメリカよりは安いそうですが、それで500万円が300万円になるぐらいだそうです。つまり、そうそう甘い話が国際的な社会にあるわけではなく、無事卒業しても、いつ来るかしれないリーマンショックなどのような恐慌におびえながら、新卒就職を目指すこととなる…というのが実情なんでしょうネ。

これはあたし自身の経験談ですが、大体、米英加豪の大学院HPみりゃわかるけど、みんな高額な授業料をあちらの高い通貨で支払えって書いてあること多いじゃないすか。よくアチラは楽に通えるとか評判ありますが、そんなことはなくて、いずれにせよ大学院留学も含め留学そのものがかなり高額な”お買い物”である、ということが事実はあるといえそうです…。

このあたりの紹介だけでもかなり客観性が本書にはあってお得な情報を多く提供してくれてます。留学を志すのであれば、必見である理由や。

英語力の証明

先んじて言われているのは、TOEICは役に立たないということ。

本格的に留学を考えるのであれば、IELTS/TOEFL/GMATで高い得点が出せなけりゃ意味ない。もともとTOEICは日韓のお偉いさんしか評価しないものだとあたしは聞いてます。本質的な英語力になってない。例えば、文芸的なオサエにもなっておらんし、ビジネス上必要な教養力も養えない資格だそうです。

あくまで、国内の就職や国内の大学院受験の際の独立した孤立指標だということは意識してほしいそうです。読み・聞く・以外に書く・話すことをガッツリ積み込まないと意味がない…というかぶっちゃけ入学後ついていけないとのこと。こういった基礎的なことが書かれてます。特に書く・話す能力はしっかりとみっちり身に着けなければならん、怖くはないがそれは必須である、そう書かれてます。

通信制大学留学の提案

そこで、本書は経済的制約・時間的制約・地理的制約を鑑みたうえで、海外の通信制大学に留学してはどうか?と提案します。まず安く済む・時間的空間的制約もあまりない。現にロンドン大学についていえば、通信制で修了した方が多くいらっしゃることはネット上でもかなり報告されてる。

そして、その前座としてまずスタンフォードやMITのMOOC(簡単に言えばネット授業)を無料で視聴してはどうか?と提案しています。学位にはならないものの、経験値にはなるので、そのあたりをしっかりと下調べする段階で授業の感覚などをつかんではどうか?という意味だと思います。ほかにもまず『短期プログラムの取得を志す』などの提案が載っているようです。

んで、具体的な学校名がつらつら連ねられいますが、英語で原文をしっかりと読み込まないとダメだとあたしなりに追表しておきます。というのも今、ディプロマミルなどをはじめとしてかなり厳しい論調が世の中に出回っているから。やはり、不正学位はとっても意味ありません。名前だけの札を持っても意味がないようにこの点だけは注意して、しっかりとした認証機関が認証している大学を取っておきたいものです。

とはいいつつも、あたしの通っていた国内のMBA課程も認証はありませんでしたし…国際的MBAの認識を受け取るためにはいわゆるトリプル認証は必須ですね。だから、自分できっちりと調べてリサーチしておいて確実に留学の意味合いを把握しておくことは、本書も提起するように重要。

まとめ

具体的な進路・学校名なども本書の最後の方の章で掲載してるようですが、そのあたりまで間接的にここに掲載するのはあまりいいことじゃないと思う…だから、このあたり知りたい方は本書をぜひ手に取ってみてください。

最後に、あくまで個人的な意見ですが…唯一気になった点ですが、通信制の社会的評価は日本ではあまり高くないと思います。海外の通説ではどうなんでしょうかね?全日制と同じ評価が得られるか?という点ではまだまだツメの甘い箇所が残っているような気がしました(唯一気になった点す)。

Boilingfruit, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons