最盛期へと再突入し蘇るSRPG(シミュレーションロールプレイングゲーム)というジャンル | ゲヲログ2.0

最盛期へと再突入し蘇るSRPG(シミュレーションロールプレイングゲーム)というジャンル

思うに、2000年台前半、SRPGは苦境に立たされていたように感じる。これはWikipediaの記事で具体的なタイトル名を見ても明らかなことだろう。実は古典的な名作を多く抱えるSRPGというゲームのジャンルは、1980年台から1990年台にかけて素晴らしいタイトルが軒連ねるように散在していた。例を挙げると…

「シュヴァルツシルト」「ファイアーエンブレム」「スーパーロボット大戦」「ラングリッサー」「シャイニングフォース」「フロントミッション」「タクティクスオウガ」「バハムートラグーン」「ヴァンテージマスター」「Gジェネレーション」「グローランサー」…中には近年その復刻版がかなり歓迎ムードにあるタイトルまである。ただ、2000年台前半から、このジャンルにちょっとばかし暗雲が漂い始める。

J-SRPGを語るうえでは外すことのできない「うたわれるもの」や「ディスガイア」こそ、この2000年台前半にリリースされているが、傑作から一歩も二歩も後退したタイトルしか見受けることができなくなっているのは、SRPG最盛期を知る古いゲーマからみれば納得いくところだ。常識的に考えると(JK)、たぶん、次に示すいくつかのポイントがその主な理由になるはずだ。

1・早熟過ぎたSRPGというジャンル

そもそも”ゲーム”という遊戯はテーブルトークRPGから始まったジャンルだった。そこに自動機、つまりコンピューターが介入するようになって、その”ゲーム”がデジタル信号で処理されるようになった。だから単なる”ゲーム”はデジタルゲームになり、テーブルの台座から離れ、我々のイマジネーションに訴求するデジタル産物に発展した歴史がある。その過程で、テーブルトークのノウハウと純粋に親和性が高い、”卓上のSRPG”というジャンルは、その伝統性も含め、既にかなりの程度発展していたものだった。アナログからデジタルへつながる望みを引き繋いだのが他ならぬSRPGだったわけだ。ターン制というメインジャンルのルールもここらに理由があるだろう。早熟過ぎたシステムを初っ端から持っており、システムの土台は当初から出来上がっていた。だからこそ、早い段階で傑作が出すぎたのだ。

2・ゲームバランスの崩壊

そこから発展していくかのように見えたタイトル群だが、ここで問題となる壁にぶち当たる。それが、『ゲームバランスの崩壊』だ。名作とされる「フロントミッション」でさえ、カッツカツの単騎突撃が通用したタイトルとして今でもしばしば話題に上るほどだ。ゲーム性を既存作から発展させようとしたゲームデザイナーたちは、キャラクターの能力のインフレとデフレの両面から板挟みになってしまい、ゲームをうまく継承し進展させることができなくなってしまった。ここらからSRPGの憂鬱は始まる。

3・オリジナリティの欠如

これも必然だった。デザイン的にも既に高みの天井に発展していたSRPGジャンルにおいて、さらなる独創性を極めようとする試みは軒並み失敗に終わった。唯一エロゲーである(w)「うたわれるもの」ぐらいが独創性の面で強みを持ち、加えてワンタイトルぐらい…「ディスガイア」ぐらいしかこの2000年台前半には傑作が登場しなかったという解釈はあまりに言い過ぎだろうか?そこで拍車をかけるようにデジタルゲームの逆襲は始まる。

4・別ジャンルの台頭

デジタル化されたゲームはコンピューターによるリアルタイム処理の面で長所を発展させるようになり、高処理・高付加価値のゲームがSRPGというテーブルトークゲームを祖先に持つジャンルに対抗し、あまつさえ台頭されるようになってしまった。だが、ここで早くもSRPGは息を吹き返す。

2000年台後半に入り、今に至るまで、ゲームバランスの崩壊を逆手にとったインフレゲー「ディスガイア」の様々なプラットフォーム展開を先陣に、「ナムコクロスカプコン」「戦場のヴァルキュリア」「ヴァルキリープロファイル」といったゲームの歴史を語る上で外せないタイトルが数多く出てきた。メーカはおそらく、デジタルにおける処理系の問題をうまく取り入れ、高付加価値の方法論をこのジャンルに適用させてきた。2010年台こそ、シリーズ展開以外目立ったタイトルに恵まれなかったが、ご存じのように2020年台には「トライアングルストラテジー」に端を発して、いきなりブレイクの兆候を見せている。一つこの時点でポイントとしてさらに言えることは…

5・Steamにおける古典的名作の復権・リマスター復刻版・海外勢の台頭

の動きがあることだろう。勿論、海外製のゲームもこの動きの中に多分に含まれる。確かに次に挙げていくタイトルらが純粋なSRPGか?というと疑問符が付くかもしれないが、高付加価値のジャンル開拓が一気に進んだ年でもあった。メーカは工夫して、SRPGの良いところをうまく取り入れて、革新作を多く出すようになったのだ。

例えば、傑作「メックウォリアー」を受け継いだ「バトルテック」や、小粒なところでは「ステラリス」などのパラドゲーの国内展開、「シヴィライゼーション」「X-COM」で知られるフィラクシスの寡頭化などなど、多くの良いとこどりのタイトルがバンバンと出てきている。「Into the Breach」に見られるようにローグライト系などとの融合作の勃興もあるだろう。そして近日、SRPGの老舗になった日本一ソフトウェアは「ディスガイア6」のリリースにこぎつけようとしている。

そんなこんなで、いまだに苦しんでいる、RTSとは違い、SRPGは今に至り2000年台前半の苦境をうまく逆手にとったうえで克服し息を吹き返した段階にあるとあたしは思う。懸念があるとすれば…国内勢で強い動きが「トライアングルストラテジー」ぐらいしかないことだろう。そういう意味で、J-SRPGがどうなるか?はいまだ見えてこない。国内の動きから推察するに、あたし個人は『海外勢の台頭』の要素がかなり強く、国産タイトルには悲観している。

ちょっと足早に振り返ってみたが、いまのところ、小粒なものも含めると、Steam配信タイトルに期待できるものが多いと思う。上述の1-2-3-4-5と段を追ってみると、そのグローバル化の傾向に多少は納得いくことができるのではないか。

pha pha, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons