「Milling machine 3D」に見るシミュレーションと実学の並立性 | ゲヲログ2.0

「Milling machine 3D」に見るシミュレーションと実学の並立性

う~ん、これまたイロモノを持ってきたなぁ…しかし画期的なシミュレーターであることに間違いないっすタイトルですね~~www ええっと、はじめに言っておくんだけど、これって“フライス盤シミュレーター”ね。英語ではフライス盤のこと、ミリングマシンっていうらしいよ。いわゆる、『工作機械』の一種だん。というわけで、フライス盤シミュレーター「Milling machine 3D」の登場を受けて、そのシミュレーターとしての意味・真価を問うてみようと思う。

シミュレーター系ゲームは今時、多くSteamで見受ける。例えば、車やバイクの整備のシミュレーション、自作PCのシミュレーション、株式市場のシミュレーション、サッカーチームのシミュレーション、ファーミングマシンシミュレーション、トラック運転のシミュレーション、もちろん王道のフライトシミュレーション…よりどりつくせりなんでもござれ、と、実世界のシミュレーションをソフトとして構築することはこのゲーム業界においてぜんぜん珍しいことではない。これはなぜか?

我々の人間の生活ってのは基盤的にそれほど複雑なモンではない。COMの中でシミュレーションできる一連の限定的なスキームで人間の日常生活は成り立っている。だからこそ、こういったシミュレーションが出ては出ては、その度にその着眼点のすばらしさに感動できる。ある種、現実のビジネスに影響を及ぼすこともままある。例えば、Claudiu Kissによる「PC Building Simulator」は画期的すぎて、現実のPCパーツメーカの許諾を得て、タイトル単体の売上も肥大化したほか、現実のPCパーツ市場にまで影響が波及する大々的なビジネスになるポテンシャルがあるし、SEGAの「Football Manager」だって今世界のサッカーリーグで最強と言われる英国プレミアリーグの有力チーム、エヴァートンのチームマネジメントに実際に活用されていることでも業界では有名どころのシミュレーションゲームだ(てか、「Footaball Manager」は欧米圏でかなり有名なゲームシリーズである)。

今回取り上げる「Milling machine 3D」について言えば、この手のシミュレーターとしてはニッチだけど需要があるものだと思う。なぜかっちゅと、これ工学部とかの工作授業でシミュレーションで使えるレベルなんだよね。実際、工学部の授業には、どの大学にだってフライス盤とかボール盤とか工作機械とか旋盤使っての基礎工作の授業はある。どの大学も実学は軽視してはいけない…特に工学系はそうだっていうことで、どの工学部を持つ大学だってこの分野は外してない。授業の必須単位に盛り込んでいるはずなんだよね。んで、これをシミュレーション分野でやってしまったらどうなるのか?っていうところにキッカリ切り込んでるタイトルなんすよ、これは。シミュレーション分野はこうした実学との応用並立制ってのがやっぱすごく求められるところで、前述の「PC Building Simulator」だって「Football Manager」だって、『リアルの追求と実学重視』というテーマに沿ってゲーム性を構築したからこそすごいタイトルになったわけよ。

このタイトルもそれらに追従するぐらいすごい着眼点があると思う。確かに表面温度やバリなどの問題、加工精度の微妙な問題ってのはあるけど、それをなんとかでもシミュレーション系に落としこんだっていう点でこのタイトルは優れている。例えば、試作部品をコンピューター上でどれぐらいの精度でどういった工程でもってして実現するか?っていうこともできるだろうね。MODなどの充実次第では、現実のCADツールと併用して、シミュレーションとか試作ロスで加工のイメージを練ることだって考えられるだろう。これを拡張してCNC旋盤とか、工作機械全般に当てはまる汎用性ある安価なシミュレーターにしたら爆ウケするかもしれない。ただ、懸念がないわけじゃない…じゃその懸念って何?っていうと…

というのも『あくまでシミュレーションはシミュレーション』という点は我々が忘れちゃならない。所詮、コンピューター上での出来事に過ぎないから実際のリアルとは相違あるものになるかもしれないということを意識してほしいんだ。地球シミュレーターだってスパコンによるシミュレーションだって、実学実技との併用があってこそ本来の役割を発揮できる。実際地球の温度が上がるっつっても実感ないじゃん?だからこそフィールドワークや統計的調査がシミュレーション研究と同じくして重要になる。CFDの権威もいることにはいるんだろうけど、それって評価されるのって、実証実験としっかりと合致してからこそなわけ。だから、コンピューター上でシミュレーションすることは無論重要なんだけど、それがすべてではない、それが全体像ではない、ってことに気付かねばならないちゅことね。そこだけが…本作唯一の落第点であり、それはまた同時に回避不可能なことなんだと思う。

事実、最初の旋盤って誰が作ったんだろう?って思うじゃない。ちょっとづつ精度を人間の感覚で挙げていったんだよね。だって旋盤で作った旋盤はそれ以下の精度しかできない、子供の旋盤であるわけよ。だからキサゲとかの人間の俊敏な感覚によって、職人技によってちょっとづつ精度を奇跡的に構築してきたっていう歴史がある。これが今日に至るマザーマシン(ありとあらゆる工作機械の母体となる”母なる工作機械”)の歴史なんだよな!!!

Cincinnati Milling Machine Company, Public domain, via Wikimedia Commons