漫画レビュー「明日ちゃんのセーラー服」 | ゲヲログ2.0

漫画レビュー「明日ちゃんのセーラー服」

難しい漫画だなぁ…

というのも、漫画の話自体が難しいのではない。単に学園もの・百合ものと言ってしまえばそれで済む話です。すなわち、話自体が難解な漫画ということでなく、そこに隠された真意に気付けるかどうかという意味で、難しい漫画です。表立った話はよくわかる。けど、背後になにかあるからこそここまで魅力さのある漫画なのでは?そういう意味でムズカシイ。

評価が二分されているのはなぜか?

これは、『そもそもこれ漫画といえるのか?』という事だと思います。フツーの漫画であれば、ストーリーがあって、そこに副次的にビジュアルが付属するというイメージですが、本作の場合は逆であり、ビジュアルがあり、そこにあくまで副次的なストーリーがあるといった様子ですね。つまり、これまで見てきた漫画でもなければ、(性的な描写はあっても)完全な成人向けの漫画でもない。目的がはっきりしない漫画ですね。どちらかというと画集とか、コミックあるいはライト(すぎる)ノベルの体裁をとった自由なスケッチ帳ともいえる。これが評価が二分されている一番でかい理由だと思われます。反面、映像にしたら特異なものが出て、評価されるような気もします。映像というものはよりビジュアルに訴求できるものがあるので。最初にストーリーありきのではなく、ビジュアルにうったえてるのが本作なので、そこに映像が乗っかれば、なにか化学反応が起きるポテンシャルがある。

描き方の特徴

また、そのビジュアル面についてですが…特徴的なのはクッキリとしたコマ割りがなくて、絵自体はとてもきれい、フリーダムな一枚絵とかが多用されている、といったところでしょうか。話の進む具合・全体としての構成面では、小さい物語が連綿と紡がれるような感じです。友人と交友を深めていく、あるいはフェティッシュな面が強く押し出され、女性の感覚が研ぎ澄まされ、それらが表現される。これまでの漫画では見受けられなかった表現です。特段表立った目的はないけど、女性の生活がこの漫画に組み込まれていて、その表現が雰囲気づくりに終始している。これが描き方の特徴。

では、本作は少女漫画なのか?

さらにつっこんでいうと、この漫画は、まるで少女漫画のセンテンスを盛り込んだような具合でもある。例えば、蛍との話でもそうなんだけど、心の繊細さを作画のうまさと重ね合わせて描いているように思います。9巻、蛍との話はすごくいい話で、完結型の漫画ゆえの構成力の上手さが如実に表れています。このようにこの漫画は、雰囲気作りからあくまで入ってきたのですが、そこに完結型のストーリーをところどころに入れ、ストーリーのストライプを幾重にも束ねているという事だと思います。こういった面では、少女漫画のような要素も一重ぐらいは加味していると思われる。

総評

なんというか…結論、この辺りは実際に読まないとわからないと思います。というのもあくまでビジュアルに読者が屈する漫画なので、読まなければわからん要素が多用されていて、実際買ってみたが合わなかった…という層がいてもおかしくはない。というかその通り、評価が二分されているメタな漫画です。これが一昔前で、ウェブコミックなどが興隆してなかった時代なら、まったく評価はされなかったでしょうね。出版されてたかも怪しいぐらい。今、現代我々が読むからこそ、評価する層もいるというような漫画。骨太な話らしい話はないので、あくまで印象論しか言えない、そんな漫画です。

付記:アニメ版についても言っておくと、あたしの友人もその面が良くて『今期イチ』の出来だといっていました。ちょっとだけ見たけど、とにかく、OP/EDはすごいね。画も綺麗すぎるほど。原作漫画もそうですが、宗純な(?)感じのする女性像を多く描いていると思うし、アニメもそれに準じて作られているように思います。もっとよく見てみたいと思いました。