Steamゲームレビュー「Jupiter Moons: Mecha」~手描き感溢れるメカデザイン+ローグライトデッキ構築ゲーム | ゲヲログ2.0

Steamゲームレビュー「Jupiter Moons: Mecha」~手描き感溢れるメカデザイン+ローグライトデッキ構築ゲーム

ゲームの紹介

『ローグライトデッキ構築』というSteamタグを見てあなたは何を思い浮かべるだろうか?

無論誰もが認めるように、様々な傑作を生んできたゲームジャンルであることには間違いないだろう。だが、言わずもがなその功罪の負の側面は大きい。デッキ構築型ゲームの標榜ともいえるStSに代表されるように、同ジャンルのシステムの特異性は、実はコアなSteamerとの好みのマッチング具合が良すぎたがゆえ、”同じようなゲームの多発”を招いてきた。これが『ゲーム展開の硬直性』だ。このジャンルの流行は、確実に似たようなゲームを多くしてしまった。

そんな中、同ジャンルに果敢挑戦する新味なタイトルがある… ”SF+ロボット+賞金稼ぎ”という、かなり異質な切り口を持ち合わせるタイトルだ。その名を「Jupiter Moons: Mecha」という。

特色あるグラフィック

本作の特徴はいびつなロボットデザインである。まず、デッキ構築型ローグライト、という共通項はあるものの、このグラフィックデザインはインパクトがとてもでかい。だから、システムの解説前にそのデザインの手描き感について述べておこう。

キャラクターというキャラクターは出てこない。あくまで自分の投影図が戦闘画面左上に写されるだけで、あとはかしこまっていない、デッサンのある程度狂ったキュビズムをも連想させるロボットのデザインが表面に写されるだけだ。だが、このゲームの最大の特徴は、そのデザインの特異な部分にある。

明らかに遠近感のズレた、また立体図示においてバランスがどこかしろ偏っているロボットばかりが登場する。ロボットのアイテムも同じようなデザインだ。だからこのデザインにうまく好みが合わないというプレイヤーも多くいることだろう。それは同じジャンルで似たコンセプトで作られている「For The Warp」の比ではない。

だから注意深く、このグラフィックスのある種の”凄み”を見てやってほしい(と開発者ではないあたしが本来は言うもんでないけど…w)。これはなんとも表現しがたい不思議な感覚だが、やっているうちにハマってくるデザイン…というものだろうか?

システムの解説

じゃ、システムの解説。

まず、プレイヤーは自分のロボットを選択する。そしてそのデフォルトデッキを構築して戦闘に入る。戦闘は数回続き、そのステージの最後には強力なボスが現れる、というお決まりのプロット。どうやらロボット本体のHP以外にも、バリアシールド量・熱系統安全性や貨幣のような概念など、様々な numerical figures が用意されているといっていい。

まだ選択できるロボットは少ないが、本リリース時には各段に多くしてくれることを望んでいる。特性が強いゲームと言えども、このジャンル、豊富に用意されたコンテンツ量が必要なジャンルであることには間違いないからな。
これがデフォルトデッキ。赤が攻撃系、黄色はサポート系、緑は回復系のように大別できる。効率よくゲームを進めるため各種パラメータには常に注意を払っておきたい…なんていまさら言うまでもないか。

画面はコックピットに乗ったプレイヤーである自分のFPSの視点から表現されている。攻撃は主にレーザビームだが、最大限そのFPSの視点をうまく活かしている格好になっていてレーザの射出と共に、画面がその動きに合わせて動的にダイナミックに視点変更され、振動も走る。臨場感が増す演出で、まさにメックウォーリーアのそれを見事に再現しているような塩梅。

レーザー射出時、画面は臨場感ある振動と共に動く。メカニカルな機体に”乗っている”ことを実感させる重要な演出。

さて、行動の際必ず使う構築済みデッキは、攻撃系・サポート系・回復系の三つに大別できるようだ。まだ、実装されていない部分も多く、”More soon!(もうすぐ実装されるよ!)”といような場面に出くわすシーンもまた多き。例えば、ロボットの選択シーンではそういった表記が見受けられるし、賞金稼ぎゆえの特注ミッションを受けるシーンもまだロックされているままだ。そういう意味でまだまだ、本作の真価はわからない面が多い。

これが最初んステージの親玉。ただ、なぜ闘うのかすらはっきりとはしない。その辺はわざと”外してる”のかもしれんな。

ひとつ実装されているメインの部分をご紹介。

これは戦闘間の装備シーンなんだけど、メカニカルに図示された様々な報酬パーツをこのシーンで装着できる。装備アイテムは武装やサポート器具など多彩。それらの装着モジュールもまた専用のものに分類されていて、どのアイテムでも、どこにでも装着できるというわけではない。強力なモジュールは占有スペースも大きく、マネジメントのし甲斐がある。どうやらこの”カスタムさ”をゲームの主題である”メック”という題材にうまく切って貼り付けたようなシステムになっているといえるだろう。

また、歯車アイコンで示される通貨量を使用することで機体の半分程度のHPを回復させるか、完全に回復させるかを選択できる。この時、完全回復するのに使う通貨量は半分回復させるときに使う通貨量の二倍程度になっていて、バランスを加味したうえでのシステム設計上の配慮であることがわかる。

まだ未実装のシステムも多いが、根幹はしっかりしている印象を受ける。これだけゲームの構成要素が豊富だと全体的なプレイバランスをどうとるのか心配になるけど、そのあたりは期待して待つしかないにニャ.

というシンプルなゲームだが、プレイすれば直観的に”わかる”システムでありながら、その良い意味での刺々しさをひしひしと感じるプレイ感がある。合わない人には合わないかもしれない…ただ、”ささるのであればささる!”ゲームになっている。特に従来からの『ローグライトデッキ構築型』の殻を破ろうとするそのパイオニア精神には感服するモンがある。

他作との比較およびまとめ

…とここまで書いてきて、他に『ローグライトデッキ構築』の進展作はないのか?というとないわけじゃないw。例えばパズルルーレットのような要素をこのジャンルに吹きこんだ「Peglin」や本作と同じようにビジュアル面で特異性を異常なまでにはなつ「Nadir – Prologue: Slay the Six」のようなゲームも今後続々と登場する。

思うに今回あたしが挙げた”膠着性の問題”はある種優秀な、どのゲームクリエイターにとっても周知のとおりのものらしい。それは国内で以前伝えた蓮田氏が「マナザレイヲ」のような革新的なゲームを制作していることからもわかる通りだ(ゲヲログ2.0)。

本作もそんな流れの中の一作として、これから本リリースまで新要素をまとめあげバランスとってきたら、間違いなくスマッシュヒット作になるとあたしは評価している。先に書いたように、Steamerは元来コアなゲーマであり、ゲームを通じて快活な自由さを求める存在だからだ。

※Source of Photo: Busan Indie Connect Festival 2021 Steam