「Deus Ex: Mankind Divided」に見るオープンワールドの難解性 | ゲヲログ2.0

「Deus Ex: Mankind Divided」に見るオープンワールドの難解性

史上最高峰のFPSゲームのうちのひとつといわれる、初代「Deus Ex」から連綿と続くシリーズの中で、最新作「Deus Ex: Mankind Divided」が称賛されるべくして出てきたものではなく、酷評されるべくして出てきてしまったのはその手の知識あるゲーマにとって意外なことだった。これはオープンワールドという概念の構築がいかに難しいか、それが如実に表れている結果だ。特に「Deus Ex」シリーズの中で直近の本作だけが酷評されているのがすごく印象に残る。

このようにトレイラーを見てみたり、あるいはメタスコアや受賞歴を見てみる限り、どう考えても素晴らしいゲームであり、ある種マンセーされる『神ゲー確定』のシリーズ最新作だったはず。だが、ふたを開けるとその中身は残念落胆するブツであった。本作は「Deus Ex」の初の本格的なオープンワールドゲームであり、それをアピールしつつ洗練されたゲーム性が魅力的、触れ込みはそうだったのだが期待を裏切られた、と評するレビュアーは多い。

ケチ付けたとこで意味ないけど、神ゲーは時代変わっても神ゲーなはず。俺の環境だといまだに日本語レビューは『賛否両論』…すべてのスコアを勘定してようやっと『やや好評』といったところだ…Steamより

そもそもゲームのストーリーが貧相で、表立ったPRポイントがないらしいという下評判はある。あるいは、DLC使い切りのゲーム内購入手法だったりそれに基づいた”儲け”や”利ザヤ”を稼ぐ悪徳商法だったりしたわけだが、それはそれでいいと仮定としよう。たとえ、貧相なシングルゲーであったとしてもゲーム内購入があったにせよそれはそれで問題ないものとしておいておいて、その実、本作はオープンワールドに恥じない拡張性あるアクションゲーだったわけだ(ぶっちゃけて言えば、それがウリでありフレコミだったはず)。だが、いくつかの問題をほっぽっておいたとしてもかなり今作は問題だらけだった。意外と気づきにくいが、これが『オープンワールドに潜む罠』なのだ。

好きなときに好きなクエストを自由にこなせる、人間模様が多彩で行動性が広い、クラフトシステムを中心とした箱庭系の拡張性がある…オープンワールドはいくつもの難題を抱えながらも”世界内世界”という概念でゲーム業界に旋風を巻き起こした。だが、その罠にひっかかるタイトルが最近多すぎると思う。この「Deus Ex」シリーズ最新作でさえそれは同じ。いわゆる線形モデルからいい意味でかい離した非線形系ゲームモデルを標榜しているのがオープンワールドの特徴なはずだ。

要するに自由度が高く、世界を冒険できる。だが、そこに罠があるのだ。オープンワールドでもなんでもなく、プレイしてみるわかる点は、既存のワールドをメタに・ありていに模写しただけ。メタルギアシリーズ最終作でさえそうだった。システムに対しての不満や鬱屈が爆発し、高評価をつけるレビュアーが減ってきている…これは目に見えてわかる。

4Gamer.netの奥谷記者が指摘するように、メタスコアと現実のユーザレビューのかい離は現在激しい(4gamer.net)。本来、ゲームはゲームであって、プレイヤーがその中にある空想や妄想にダイブすることで快感を覚えるものだ。だが、我々の社会における自由度とゲーム内における自由度を考えてみると、このオープンワールドへのアクセスは一介の企業が設計するにはあまりにでかく肥大している。絶妙なバランスが必要とされるゲーム業界でこういったことが起きるのはむしろ自然であり、模倣的なゲームが無駄に増殖しているのにはネガティブな感情とともに納得がいく。

主人公アダム・ジェンセンが新時代のオープンワールドの期待に答えられたかどうかという点で、本作には(また、オープンワールドを提唱する最近の酷評作品には…)疑問符がつかざるを得ない。

※Source of Photo: IGN