田口玄一は「品質工学の目的は社会的な生産性を上げること。しかも頭脳労働の生産性が大切だということだ。企業でもR&Dで新産業を作る研究をすれば、失業者は吸収できるし、開発段階で機能性の評価をやって無駄な労働時間を短縮すれば、2日の休みを3日か4日にすることだってできる。その休みを旅行やスポーツなどの趣味やレジャーに使えば国全体が潤うことになる」と語っている。
☆品質工学 – Wikipediaより引用
ノイズを考慮したうえでロバスト安定性をSN比に取りパラメータ設計を施すのが品質工学への近道。田口玄一によるメソッドは世界中で苦境に苦しむ製造業、特にアメリカにおいて古豪である製造業を復活させた実例として広く知られている。ここでは演習問題を解いてみよう。Nは誤差因子である。A/B/C/D/Eはそれぞれチューブの硬度/容量/温度/注入針先の太さ/圧力の大小によるが、その順番で割り振られている3つの数値をパラメータとして扱っているので、硬度・容量・温度・注入針の太さ・圧力らそれらの大小のベクトルには注意しておきたい。詳しくは、参考書p202を参照のこと。では利益を求めよう。
部品Gの衝撃に対する強度を向上させたい。…使用する5種の樹脂が強度に影響するのでこれを直行表に割り付けた。望大特性を用いて最適条件を求め、現行条件からの利益を計算せよ。
・望大特性⇒結果目標値が大きければ大きいほどいいとき
・望小特性⇒結果目標値が小さければ小さいほどいいとき
・望目特性⇒目標値となる結果値が存在するとき
三つの種類のうち、いずれにせよSN値が要因効果図で大きいほどよいので、それを紐解いて最適条件を決める。現行条件はすでに与えらえており、利益をここから除算することで求めよう。
☆参考書「RとRコマンダーによる実験計画法」より参照含めて引用
ここからzipをDLする。そしてRからパッケージ⇒install package(s) from local files…のコマンドを引き出してzipを指定する。そうしてからRコマンダーを起動して、コマンダ上でツール⇒Rcmdrプラグインのロードを選択する。そうしてから、Rコマンダーを再起動するだけで、このタグチメソッドは使用可能になる。
QCツールから要因効果図を選択して、プロットを導き出す。目的は一個の変数、説明につかう変数は複数であるからして、それらを選択する。これだけでなんと複雑な数式を経ずしてタグチメソッドをR上で使えるのである。ここでは回帰モデルを使うことは避けるが、その回帰の手法でもやっていることは同じである。ここでは、視覚的にロバストを表示できる要因効果図によるわかりやすい手法を使う。
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[1] "SN比" [1] "総平均= 34.3400026566609" [1] "要因: A" l1 l2 34.17554 34.50447 [1] "要因: B" l1 l2 l3 34.88906 33.76369 34.36726 [1] "要因: C" l1 l2 l3 33.67168 34.90084 34.44749 [1] "要因: D" l1 l2 l3 34.25289 34.84299 33.92413 [1] "要因: e6" l1 l2 l3 34.31307 34.25936 34.44757 [1] "要因: e7" l1 l2 l3 34.38790 34.37675 34.25536 [1] "要因: e8" l1 l2 l3 34.43837 34.29496 34.28668 [1] "要因: E" l1 l2 l3 35.06399 33.66705 34.28897 |

エクセルベースでこの最適水準(A2.B1.C2.D2.E1)からの数値を読みとっていく。現状(A1.B1.C1.D2.E2)のほうは参考書のほうに載っていて、ここから改善案を紐解いていける…というわけだ。パラメータの妥当な値をみて、最適の組み合わせ総和から現状の組み合わせ総和を引けばいいだけだ。利益たる数値は2.95503となった。これが答えだ!