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「Tell Me Why」アドベンチャーゲームの再興と縮約の物語

「Tell Me Why」アドベンチャーゲームの再興と縮約の物語

第一チャプターを大方”見た”限り、確かに本作は傑作と言っていいだろう。ADVは伝説のゲーム「Myst」以来、叩き叩かれ、「ひぐらしのなく頃に」「Fate」などの同人ゲームに収束してしまいメジャーどころではなくなった。後にメジャーなタイトルとして残ったのはKey/Leaf系もしくは新興ベンチャーによる大人向けのゲームが主体であり、2Dのアニメ風のキャラクターが登場する、いわば”Weebな”層をターゲットとしたものに限られてしまってきた歴史がある。そこでその手を覆すように、PS4ベースに「Life is Strange」シリーズが勃興し、ADVの権威を一時的に大幅に回復させた。ここまでがここ三十年間のADVゲームの歴史だとあたしはとらえてる。

本作「Tell Me Why」はその「Life is Strange」と同じデヴェロッパである仏Dontnod Entertainment社による、2020年になってからリリースされた最新ADVである。ただ、疑問がないわけじゃない。たしかに同社によるこのゲームは一見ADVの復権をなしたようにも思える。ゲームの内容も感動的で、登場人物の再生の物語が最高位のグラフィックデザイン技術とともにハイクオリティーに保たれているのも納得のいくところだ。だが、ADVという長期デザインを強いられるタイトルで、最初から最後まで追って行ってゲームの内容を見ていくことが、それ自体ごくごく当たり前のほかのゲームと、同じ要領で取り扱いできるのか?という疑問を新たに提起してしまっているようにもあたしには思えた。

例えば、第一チャプターのENDではその直前まで”やって見て来ていた”ゲーム内容ははっきりいって設計的に雰囲気の醸成を狙ったものであり、そこを飛ばしてもゲームの内容としては十二分に理解できてしまう。これは、なにもADVに限ったわけではなく、『ゲームをわざわざ買ってやるより、配信を見てしまう』ほうが経済的なメリットは少なくとも、ユーザ側に副次的に発生してしまう現象に似ている。

ましてや、ADVはアクション性がないから、その副次的利益に接しやすくなってしまう傾向にある。ゲームはゲーム内のプロシージャルを取り込んだ、物語に過ぎなく、あたしたちの消費活動は実のところ、大塚の「物語消費」論・東による「データベース消費」論の実利的恩恵に授かってしまっている。よーするに、はっきり言えば、ADVは1(はじめ)からたどらなくても、ENDにたどり着いてから、ちょいちょい合間合間を配信先で見てしまえば、買う必要がなくなるといっても過言じゃない、それが顕著なジャンルだ。

本作がMSお抱えの史上最強のADVになっていることは第三チャプターまでの個人的な予想も含めると、間違いはないだろう。「Life is Strange」のデヴェロッパらしく、実力・本領をしっかりと発揮しているし、このジャンルの再興を計算しつくした傑作だ。だが、そのタイトルは実際のところ、作りこめば作りこむほど、精緻に出来すぎているので、逆を言えば、縮約の物語でもある。そこにある物語は、物語性を見事に復権させたが、同時にその縮約版も提起してしまっているわけだ。これはなにもADVに限らず「コスパのよいゲーム」としていくらでもネット上で、その多くが語られてきた。

傑作であることは間違いないが、反面、精緻に作りこみすぎたせいでそのメリットと裏腹のデメリットも呈してしまっているようにあたしには見えてしまった。それを勘定しても本作が、ADVというジャンルがぶっ壊れた後、その再建を成し遂げた偉業を持つ傑作であるのには間違いがない。

※アイキャッチ画像はTell Me Why | Xboxより引用させていただきました。