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漫画レビュー「よふかしのうた」コトヤマ―近年まれにみる傑作漫画!

漫画レビュー「よふかしのうた」コトヤマ―近年まれにみる傑作漫画!

WEBサンデー|よふかしのうた■コトヤマ(※アイキャッチは同サイトから引用させていただきました)

「だがしかし」でよく知られたコトヤマ先生による新作。はっきりいって『傑作級』の漫画だ。プロット・設定を主体とした前編、漫画のコマワリ・ギャグ系の中盤、そしていよいよ始まる第五巻以降の本筋終盤というストーリーの流れがしっかり練られて作られている。

主人公夜守コウはある日、吸血鬼・ナズナとの出会いを経て、彼女らのコミュニティーと関わり合いを持つようになる。種族の設定を軸に序盤はその設定・解説を主として進む。「吸血鬼になりたい」と願うようになったコウは、その条件として”ナズナに恋をする必要がある”とナズナ自身に言われる。コウはだんだんと現実の話から外れてゆきそれ自体に興味を失っていき、反面、吸血鬼の世界の魅力にとらわれていく。ナズナとの『夜遊び』が楽しくなり、学校という実世界と疎遠になっていくコウだが、その”吸血鬼の運命”が結果的にコウに与えるものとは何か?

ぶっちゃけ、話はこれだけである。設定・プロットに深さはない。だが、その表情やコメディのありかたが、独特なタッチで描かれ、読んでいて興味深い設計になっている。最近は種族間を超えた物語が多い気がするけど、そんな中でも、雰囲気にすべてをゆだねながら、描かれる彼らの物語はあまりにも独特すぎる。特に吸血鬼を身近に、美少女というコンセプトで描いたという点で特色が強い漫画だと思う。プッシュ力が強くて、序盤から中盤へのつなぎかたが…あるいは中盤から、本筋の話がどのように進むのかという終局面までのつなぎかたがうますぎる。いうなれば、とても巧妙にできた漫画だ。

エンターテインメントとしても純粋に優れている。ナズナの振る下ネタ・あるいは恋愛風の序盤のギャグタッチのありかたも優れていて読んでて見てておもろいが、なによりもコウに惹かれる現実の女性や、現実世界のふつーの人たち(ふつーつっても、キーとなる探偵なども終盤登場)とサディスティックな吸血鬼のオモオモとで、興味深い世界観が呈されている。人間の世界と吸血鬼の世界との間で揺れ動くコウに、あるいは主体的にこの漫画を読む俺らに、コントラストとなる世界観を提供しているのだ。

描かれている絵も非常にうまく、仇となるようなミス作画がまったくない。線が決まっていて、絶妙なコマワリ…キャラクターの魅力は、無論女性キャラが主だが、コウをはじめとする人間たちのほうも負けておらず、双方がぶつかり合い融合することで、一見ハーレムに見えるけどそうではない総合的な”キャラもの”としても成功している。完璧な出来だ。謎な部分・伏線のはりかたも重要で、だれがどんなふうにストーリーを収束させるのか?そういうミステリアスな一面がある。一種の探偵ものといっても過言ではないラインが五巻あたりから始まる。吸血鬼の存在・その危険性(?)になにか隠された意図がありそうな雰囲気というとこで、基本的なプロットは五巻まで俺は読了。

芸術・雰囲気音楽の天才ヨルシカのMVに重ね合わせた、コウたちとの公式コラボはすごくいい。とにかくミスらしきミスが俯瞰的になく、ラブコメディー的なギャグも・独特な人間関係や異種族的な世界観も・あるいはその完結性にも期待ができる秀作だ。

俺は漫画酷評することが多いし、世にある漫画の9割は駄作と言ってはばからない、思えば絶賛した作品なぞは数作しかないし、面白く読める漫画なんかこの多産の時代にほとんどないっていう持論はある。だが、本作は違う。ヨルシカの曲とのタイアップ動画はほんと”どストライク”な価値観を持って読者に迫るものがある。

多角的な漫画のありかたを絶妙にとらえたクスクス笑いながら読める、それでいて、彼らの未来がどう紡がれるのか?とハラハラさせる、多面性を持った傑作といえよう。”必ず新刊を買って読むべき”作品だ。こういう漫画にはもう今後、数度しか出会えないだろうと心底唸らされ思わされた。